国立の歴史を紐解くたびに、いつも参考になる国立の郷土誌があります。
それは『あおぞら-国立の自然と文化-』です。同誌を編集・発行したのが「国立の自然と文化を守る会」です。
『あおぞら-国立の自然と文化-』は、同会の創立35周年の記念誌として2002年に誕生しました。少年時代から谷保地域で過ごされた画家の早川薫 太郎氏の版画や漫画が掲載され、かつての箱根土地株式会社の重役をお父上に持つ中島渉氏より提供された昭和2年当時の国立大学町の写真が掲載されるなど、 非常に読み応えのある331ページの書籍です。
「国立の自然と文化を守る会」の発足は昭和42年10月29日です。「国立の市制施行後間もない昭和40年頃、折から開発の波が多摩地域を席巻し、 急速に都市化が進み、従来の自然・文化環境が失われていきましたとかく忘れ去られ、時には破壊散逸されようとしている自然の風物や、私たちの先祖が遺した 文化遺産の類を保護存知する」ために同行者を募り発足されました
発足後は、市の委託を受け板碑や仏像の調査を実施、昭和50年には二度にわたる「国立市在住芸術家作品展」を開催し、その収益を資金にして谷保天満 宮梅林の土塀を奉納しています。その後も、流域下水道北多摩二号幹線設置に絡む円成院跡地保存問題、どんど焼きや大瀬干しの復活、谷保の旧家本田家の調査 等に取り組み、大きな成果をあげてきました。
発行した書籍は『あおぞら-国立の自然と文化-』のほかにも、早川薫太郎作『木版画集多摩昔風俗』『木版画集多摩の子供』(昭和52年)、『くにたち商店街形成史』(平成12年)があります。
郷土誌の発行、板碑や仏像の調査、芸術家作品展、どんど焼きなどの行事の復活など、まさに国立の文化遺産の類を保護存知に邁進してきたのが国立の自然と文化を守る会なのです。